ケーキ屋

始めて長期バイトをしたのは、近所のケーキ屋さんでした。近いし。何よりラクそうだし。そこで、出会ったのが今でも親友と呼べる友人なのですが。出会いというのは不思議です。

そのケーキ屋さんは深夜零時まで営業しているという(辺鄙なところにあるくせに)奇天烈なお店でした。私と友人はその店の夕方から深夜までの店番です。狭いお店なのに!深夜なのに!辺鄙なところなのに!店番二人という。とことんどこまでも奇天烈。さらに奇天烈なのは、店長(おじいさんまであとちょっと)が店の上に住んでいるのですが、店を閉める時間になるとレジのお金を集金に降りてきます。毎回酔っぱらっています。時々階段を踏み外して落ちてきます。ケーキ職人さんは女性とおじさんなのですが、とても仲が悪くて、作業場でいつもケンカをしては、おじさんがケーキを作るときに使う洋酒を飲んでいる。そんな瞬間を何度も目撃しました。みんな酔っぱらい!女性の職人は絶対にヤンキーなのです。でもケーキ作りにプライドを持っていて、こんな吹き溜まりみたいな店で終わりたくない!とよく私たちに愚痴をこぼしていました。殺伐としてるなぁ~。

でも名物お菓子があり、エスカルゴと呼ばれるお菓子で、シンプルなパイ生地なのですがしっとりしていて、何層にもなっており間にジャムが挟まっています。そのジャムにほんのり洋酒が効いていておいしいのです。(ここでも酒!)詰め合わせでご購入されるファンの方はいました。そういえば、酔っぱらった店長はしょっちゅうタダでおみやげにくれました。「こんなに余っててもしょうがない!酒のつまみにもならないから持って帰れ!」と言っていたなぁ。酒のつまみって・・・。

そんなケーキ屋さんの名前はつくし。今もあるのかな?今も酔っぱらいたちは働いているのでしょうか?私がバイト中に何度も失敗したソフトクリーム。何度も失敗したリボン結びとともに今でも思い出します。友人はまだその店の近くに住んでいるので、今度聞いてみよう。絶対に潰れてるだろうけど。